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高松地方裁判所 平成4年(わ)169号 判決 1992年11月12日

本店所在地

高松市元山町九四八番地一

福井興業株式会社

(右代表者代表取締役 福井正雄)

本籍

同市元山町九二一番地第一

住居

同市元山町九二一番地一

会社役員

福井正雄

昭和五年九月一六日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官福嶋成二、弁護人古市修平出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人福井興業株式会社を罰金二五〇〇万円に、被告人福井正雄を懲役一年六月にそれぞれ処する。

被告人福井正雄に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人福井興業株式会社(以下、「被告会社」という。)は、肩書地に本店を置き、砕石・砂利・セメント販売及び産業廃棄物処理業等を目的とする資本金一〇〇〇万円の株式会社であり、被告人福井正雄(以下、「被告人福井」という。)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統轄していたものであるところ、被告人福井は、昭和六二年から安価な韓国産セメントを仕入れて販売するなどして被告会社の業績を挙げることができたため、将来の不況時対策のため、所得を社内に留保しようと考え、かつて売上除外が発覚して所得税法違反に問われたことがあった経験から、今回は、被告会社の業務に関し架空経費を計上する等の方法によって所得を隠匿して、法人税を免れることを企て

第一  昭和六三年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億四一七万五二六五円で、これに対する法人税額が四二七四万八二〇〇円であるのにかかわらず、重機、砕石プラントの架空修繕費を計上するなどの方法により所得を秘匿した上、平成元年二月二八日、高松市天神前二番一〇号高松税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六五一六万三四七九円で、これに対する法人税額が二六三六万三二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右事業年度における法人税額一六三八万五〇〇〇円を免れ

第二  昭和六四年一月一日から平成元年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億九九五九万七五四七円で、これに対する法人税額が八一二八万一一〇〇円であるのにかかわらず、右同様の方法により所得を秘匿した上、平成二年二月二八日、前記高松税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が八三〇八万五〇八四円で、これに対する法人税額が三二三四万六〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右事業年度における法人税額四八九三万五一〇〇円を免れ

第三  平成二年一月一日から同年一二年三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億八八五九万七二九三円で、これに対する法人税額が七三一五万四二〇〇円であるのにかかわらず、架空の残土処分費を計上し、固定資産として計上すべきものを工事費として損金計上するなどの方法により所得を秘匿した上、平成三年二月二八日、前記高松税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が八二六六万九六二三円で、これに対する法人税額が三〇七八万三〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右事業年度における法人税額四二三七万一二〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実について

一  被告人福井の当公判廷における供述

一  被告人福井の検察官に対する各供述調書(平成四年六月二四日付け、同月二六日付け、同月三〇日付け、同年七月一日付け、同月二日付け)

一  杉野忠雄、野村享司、坂本光雄及び寒川幸信(二通)の検察官に対する各供述調書

一  検察事務官作成の搜査報告書

一  大蔵事務官松本卓也作成の仕入商品調査書、減価償却費調査書(工事運送原価)、修繕費調査書(工事運送原価)、事業税調査書、固定資産売却益調査書、固定資産除却損調査書、災害防止準備金繰入額調査書及び原価償却超過額調査書

判示第一、第二の各事実について

一  土草基吉、藤本哲(二通)及び加納谷猛の検察官に対する各供述調書

一  土草基吉の大蔵事務官に対する質問てん末書二通

一  大蔵事務官松本卓也作成の修繕費調査費(砕石製造原価)

判示第一の事実について

一  被告人福井の検察官に対する供述調書(平成四年六月二九日付け)

一  村井克巳、花川哲夫の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官松本卓也作成の脱税額計算書(自昭和六三年一月一日至同年一二年三一日)

一  大蔵事務官松本卓也作成の減価償却費調査書(砕石製造原価)及び固定資産売却損調査書

一  押收してある福井興業株式会社昭和六三年度法人税確定申告書一綴(平成四年押第三六号の1)、昭和六三年度法人税修正申告書一綴(同号の2)

判示第二、第三の各事実について

一  大蔵事務官松本卓也作成のその他の所得認容額調査書

判示第二の事実について

一  岩澤彰の検察官に対する供述調書二通

一  萱原保子の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  大蔵事務官松本卓也作成の脱税額計算書(自昭和六四年一月一日至平成元年一二月三一日)

一  押收してある福井興業株式会社昭和六四年度法人税確定申告書一綴(平成四年押第三六号の3)

判示第三の事実について

一  笹本安敏及び宮本繁雄の検察官に対する各供述調書

一  森影純一、中谷洋子及び大屋敷誠志の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官松本卓也作成の脱税額計算書(自平成二年一月一日至同年一二月三一日)

一  大蔵事務官松本卓也作成の工事費調査書(工事運送原価)及び残土処分費調査書(工事運送原価)

一  押收してある福井興業株式会社平成二年度法人税確定申告書一綴(平成四年押第三六号の4)

(法令の適用)

被告人両名の判示第一ないし第三の各所為は、いずれも(各事業年度ごとに)法人税法一五九条一項被告会社については、さらに同法一六四条一項に該当するところ、被告会社に対しては、判示各所為につき情状によりいずれも同法一五九条二項を適用することとし、被告人福井については各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、被告人両名について以上はそれぞれ刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社については同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算した金額の範囲内で罰金二五〇〇万円に、被告人福井については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内において懲役一年六月にそれぞれ処し、被告人福井に対し諸般の情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 野口頼夫)

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